同僚のパソコンやスマホを勝手に見る人はどのくらいいるのか、調査と統計
2025年にアイルランドの会社員1,000人を対象に行われた調査では、30%が過去12か月の間に、同僚のデバイスに許可なくアクセスしようとしたことがあると答えました。私たちが見つけた中で、いちばん直接的な数字です。ただし日本の調査ではありません。日本については、警察庁などが毎年公表している不正アクセスの検挙統計があり、IDやパスワードなどの識別符号を知り得る立場にあった元従業員や知人などによる検挙件数が載っています。
要点
いちばん直接的な数字はIT.ieとSonicWallの調査です。2025年8月の発表で、アイルランドの会社員1,000人のうち30%が、過去12か月に同僚のデバイスへ許可なくアクセスしようとしたと答えました。自己申告の数字です。日本では、2025年に検挙された識別符号窃用型の不正アクセス399件のうち、61件が「識別符号を知り得る立場にあった元従業員や知人等による犯行」でした。
同僚のデバイスに入ろうとした会社員はどのくらいいますか
この問いをいちばん直接聞いた調査は、アイルランドのITマネージドサービス企業IT.ieと、サイバーセキュリティ企業SonicWallの依頼でCensuswideが行ったものです。IT.ieの発表は2025年8月20日付で、対象はアイルランドで働く会社員1,000人です。
ここで大事な数字は2つあり、どちらも本人が自分について答えたものです。
- 30%が、過去12か月に同僚のデバイスに許可なくアクセスしようとしたことがあると認めました。
- 35%が、同僚や顧客の年齢、給与、履歴書、自宅住所などの個人的な情報を、職場のコンピューターシステムで積極的に探したことがあると答えました。
2つ目の数字は職場のシステムについてで、同僚自身のノートパソコンやスマホについてではありません。顧客の情報も含まれます。人の席に座って他人のパソコンを使うこととは、別の話です。
発表には、アクセスしようとした結果うまくいったのか、なぜそうしたのかは書かれていません。
日本の統計では何がわかりますか
不正アクセス禁止法第10条にもとづき、国家公安委員会、総務大臣、経済産業大臣は毎年、不正アクセス行為の発生状況を公表しています。2026年3月12日に公表された資料によると、2025年(令和7年)の不正アクセス禁止法違反の検挙件数は431件、検挙人員は248人でした。
このうち、他人のIDやパスワードなどの識別符号を使った「識別符号窃用型」の不正アクセス行為399件について、手口の内訳は次のとおりです。
- 「パスワードの設定・管理の甘さにつけ込んで入手」が84件で、いちばん多い手口でした。
- 「識別符号を知り得る立場にあった元従業員や知人等による犯行」が61件でした。
- 「利用権者からの聞き出し、のぞき見」が35件でした。
同じ399件を、不正に利用されたサービス別に見ると、「社員・会員用等の専用サイト」が122件でいちばん多くなっています。
読むときの注意が2つあります。これは警察が検挙した件数で、起きた件数のすべてではありません。また、不正アクセス禁止法が対象にしているのは、電気通信回線を通じて他人の識別符号などを入力するアクセスです。席に置いたまま開いているパソコンを誰かが使った、という場面の数ではありません。法律の中身は他人のパソコンに勝手にアクセスすると罪になりますかにまとめています。
画面を見ることも同じですか
違います。画面をちらっと見ることは、デバイスに入ることではありません。HPは2019年10月21日に、カナダ、英国、米国の一般消費者約3,000人と会社員1,500人を対象にした調査を発表しました。米国の結果として、会社員の73%が同僚のパソコンやスマホの画面をのぞき見すると発表しています。
これは自己申告で、見ることについての数字であり、さわることについてではありません。画面の見られ方については職場のショルダーハッキング対策にまとめています。
他人のスマホを見ることは一般にどのくらいありますか
職場ではなく、一般の人を対象にした研究が2つあります。どちらも同僚についての調査ではなく、どちらも米国の調査です。
Marquesらの論文は、2016年のUSENIXのSymposium on Usable Privacy and Security(SOUPS)で発表されました。リストの中で自分に当てはまる項目の数だけを答え、どれかは答えない「リスト実験」という方法で、オンラインで集めた米国の参加者1,381人を調べています。調査前の12か月に「許可なく他人のスマホを見た」人は31%と推定されました。米国の成人人口に合わせて重み付けすると、推定は20%でした。
米国のデータ復旧会社Secure Data Recoveryは、2023年4月24日に、米国の1,003人を対象にした調査を公表しました。82%が他人のデバイスをのぞき見したことがあるという結果です。自己申告で、これまでの人生全体についての数字であり、職場に限らず誰のデバイスでも含みます。
これらの数字をまとめて読むと
これらは同じものを測ってはいません。会社員に同僚のデバイスについて聞いた調査が1つ、画面について聞いた調査が1つ、一般の人に他人のスマホやデバイスについて聞いた調査が2つです。日本の警察統計は、検挙された不正アクセスの手口を数えたものです。
私たちが見つけた中でこの問いを直接聞いた調査はアイルランドのもので、会社員の30%が、過去12か月に同僚のデバイスへ許可なくアクセスしようとしたと答えました。日本の統計では、2025年に検挙された識別符号窃用型の不正アクセスのうち61件が、識別符号を知り得る立場にあった元従業員や知人などによるものでした。
法律の話と、次に読むページ
このページはシリーズの1つです。下のページは、それぞれ1つの問いに答えています。
- 他人のパソコンに勝手にアクセスすると罪になりますか 不正アクセス禁止法、刑法、個人情報保護法の条文。
- 同僚にパソコンを使われたかもしれないときにすること 確認すること、記録すること、守り直すこと。
- 同僚にパソコンやスマホを見られたときの相談先 社内の窓口、警察、個人情報保護委員会。
- 同僚がファイルを読んだら個人情報の漏えいになりますか 個人情報保護委員会が示す漏えいの考え方。
- 会社のパソコンはどこまで監視されていますか 会社が見られるもの、確かめ方。
- 職場のショルダーハッキング対策 画面、共有デスク、ロック。
画面をロックする具体的な方法はHow to lock your Mac screen(英語)とLeaving your laptop at work or in a library(英語)にあります。
Failshotについて
パスワードが1つ目の層です。Failshotはその次、2つ目の層のデバイスセキュリティ(second layer device security)です。席を離れている間にMacのロックを解除した人を、写真に残します。
Failshotがオンの間は、Macのロックを解除した人の写真を撮り、Proでは続けて5秒間の動画を記録します。Failshotのウインドウは、ロック解除が撮影されたことを解除した人に知らせます。Macの内蔵カメラでは、緑のランプが点灯します。Proでアラートをオンにすれば、Failshotは、あなたが自分だと確認しなかったロック解除、FailshotのPINや答えの入力ミス、オンの間にカメラへのアクセスがオフにされたことをメールで知らせます。Proのロック解除アラートには、写真と時刻が付き、動画を記録した場合は動画も付きます。オフにしたり、メニューから終了したりするには、Touch IDかFailshotのPINと答えが必要で、Macのパスワードでは操作できません。
Failshotは、macOS 14以降の自分のMacのためのものです。ダウンロードは無料です。無料で使えます。Pro では動画、メール通知、暗号化された Vault が加わります。Failshot Proは、failshot.appで7日間無料で試せます。申し込み時にカードを登録し、解約しない限り8日目に請求されます。アプリは英語版のみです。iPhone、Android、Windows版は準備中です。
よくある質問
同僚のパソコンをのぞく会社員は何%くらいですか
いちばん直接的な数字はアイルランドのものです。2025年にCensuswideがIT.ieとSonicWallのために行った調査で、会社員1,000人のうち30%が、過去12か月に同僚のデバイスへ許可なくアクセスしようとしたと答えました。日本で同じことを聞いた調査は、私たちは見つけられませんでした。
これらの数字は自己申告ですか
多くはそうです。IT.ieとSonicWall、HP、Secure Data Recoveryの数字は、本人が自分について答えたものです。SOUPS 2016の論文はリスト実験で、誰も自分の答えを明かさずに割合を推定する方法です。警察庁などの数字は、警察が検挙した件数です。
画面を見ることも不正アクセスに数えられますか
これらの調査では数えられていません。日本の不正アクセス禁止法は、電気通信回線を通じて他人の識別符号などを入力して、制限されている利用をできる状態にする行為などを定めています。画面を見ること自体を定めた規定は、この法律の条文にはありません。詳しくは日本の法律のページにあります。
会社のMacでFailshotを使えますか
勤務先の同意がある場合に限ります。Macは勤務先のもので、そのMacでのモニタリングについてデータ保護に関する法律上の責任を負うのは勤務先です。Failshotの場合、勤務先がFailshotの組織向け規約(Organisation Terms)に同意し、Failshotをオンにする前に、そのノートパソコンを使う全員に知らせていることも必要です。
席でパソコンを使われないようにするいちばん簡単な方法は
席を立つたびにロックすることです。Appleは、Macで画面をロックするキーボードショートカットとして「control + command + Q」キーを挙げています。自動ロックやホットコーナーはHow to lock your Mac screen(英語)にあります。
出典
- Press Release: 30% of office workers have tried to gain unauthorised access to a colleague's device in the last year, IT.ie
- 不正アクセス行為の発生状況及びアクセス制御機能に関する技術の研究開発の状況(令和8年3月12日), 総務省
- 不正アクセス行為の発生状況及びアクセス制御機能に関する技術の研究開発の状況(別紙), 国家公安委員会・総務大臣・経済産業大臣(PDF)
- 不正アクセス行為の禁止等に関する法律, e-Gov法令検索
- HP Survey Uncovers Secret Behaviors Behind Screen Creeping and Peeking, Revealing Top Privacy Concerns, HP
- Snooping on Mobile Phones: Prevalence and Trends, Marques et al., USENIX SOUPS 2016
- 53% Have Found Something Incriminating When Snooping on Others' Devices, Secure Data Recovery
- Macのキーボードショートカット, Apple サポート